Im Anfang war das Buch-購書&購盤日記-

本やCDを買う日々の記録です。完全版はこちら → http://blog.goo.ne.jp/azev

《読書》阿部陽一『フェニックスの弔鐘』講談社


●〔50〕阿部陽一『フェニックスの弔鐘』講談社 1990
(2006.07.27読了)
 阿部陽一の作品は前に『水晶の夜から来たスパイ』講談社(1991)を読んだことがあり、何かしらふっとそのことが思い出され、市民図書館で借りてこの本も読みました。
 作者の阿部陽一は、

1960年徳島県に生まれた。少年期は多くのミステリー小説を愛読した。 学習院大学法学部卒業後は日本経済新聞社の記者として入社する。この間、雑誌編集などの記者として以外の仕事もしている。その後、親しんでいたミステリーの創作を決心。処女作『クレムリンの道化師』を第三十五回江戸川乱歩賞に応募、最終候補作まで残るが国際小説(この作品はソビエト連邦を舞台としたスパイ・サスペンスで、小説中一人も日本人が出てこないというものだった)が難点となってしまい、受賞を逃す。翌年、再び国際小説(だが、今作品は登場人物の中に一人だけ日本の首相を出した。エピローグ時のところで東京の場面で小説は終結している)『フェニックスの弔鐘』を応募、見事第三十六回江戸川乱歩賞を受賞した。 当時選考委員であった笹沢左保は『クレムリンの道化師』について、「応募先を間違えたようで気の毒だ」 というように評した。しかしながら『フェニックスの弔鐘』については「またもや国際小説で応募してきたという作者の姿勢が見事だった」という言葉を残している。 また選考委員だった生島治郎は「未熟であったとしても新しいことに挑戦し新ジャンルを拓こうとする新人のエネルギーと若い力に期待したい」と述べ、これが生島が選考会で『フェニックスの弔鐘』を少し強引に推した理由だと述べている。 謎解きが主題の小説が受賞してきた乱歩賞に『フェニックスの弔鐘』は変革をもたらした、といわれている。(ウィキペディアより)

 あらすじは、

ニューヨークでVIPを乗せた旅客機が墜落。現場からはソ連製の毒ガスが発見された。モスクワではパイプラインが爆発…。デタントのうねりが世界を覆い、米ソ日で軍縮条約が結ばれようとしたとき、平和に挑戦し、冷戦の復活を目ざす巨大な陰媒が進行しつつあった。

ということで、一言でいって国際謀略小説です。フォーサイスを連想させました(悪く言えば亜流?)。もう少しディテールが書き込んであればとも思いましたが、このテの小説が大好きな私としては面白く読むことができました。


 細長いテーブルのブイコフと向かい合って坐るゴルバチョフ書記長の右側には、ルイシコフ首相、マスリュコフ第一副首相、シェワルナゼ外相、クリュチコフKGB議長、バカーチン内相、ヤゾフ国防相、モイセーエフ参謀総長ら政府・軍の最高首脳が坐っている。彼らの後方には別の小テーブルが置かれ、書記長から出席を求められた三人の特別顧問――前参謀総長アフロメーエフ元帥、前KGB議長チェブリコフ、ドブルイニン前駐米大使が揃って腕を組んで並んでいた。
 反対側の列は、リガチョフ政治局員兼書記、メドヴェージェフ政治局員、プーゴ党統制委員会議長兼書記、ウラソフ政治局員候補など党最高幹部が席を占めているが、ウラソフの椅子ひとつ置いた隣には、ガス工業相チェルノムイルディンが場違いな格好で身じろぎもせずにいた。
 訪日中のヤコブレフ政治局員兼書記をはじめモスクワにいない者を除き、ソビエト連邦の最高幹部が集まっているのだ。(p.194)

 一時期、クレムリン・ウォッチングをやっていた身からすると、涙が出るほど懐かしい面々です。

 阿部陽一の本は、本書と『水晶の夜から来たスパイ』の2冊しか出版されていないようです。残念です。

※画像は講談社文庫版・江戸川乱歩賞全集〈18〉。
フェニックスの弔鐘

スポンサーサイト
  1. 2006/07/31(月) 04:42:17|
  2. 読書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

《コント》2006.07.29 ザ・ニュースペーパー

「ザ・ニュースペーパー ミドルバージョン」
某所・某集会

 90分間、笑いっぱなしでした。社会派コントということで、政治姿勢は愚直なまでに「サヨ」ですが、教条的なところがなく、押し付けがましさを感じませんでした。
ザ・ニュースペーパー

  1. 2006/07/30(日) 06:59:54|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《読書》久坂部羊『破裂』幻冬舎(その2)

(承前)
◎『破裂』における医学部教授選
 阪都大学医学部心臓外科の教授選は次のような構図になっています。

 今のところ、有力視されているのは、香村のほかに、前の助教授で現在は大阪中央総合病院の心臓外科部長でもある南聖一郎、アメリカのコロラド大学心臓外科部長三崎孝の三人だった。(中略)
三崎は変わった経歴の持ち主で、東央大学を卒業すると単独でアメリカに留学し、ピッツバーグ大学やフロリダのメイヨークリニックで腕を磨いたあと、コロラド大学で心臓外科部長まで上り詰めた一匹狼である。(pp.76~77)

 兵庫県出石郡出身の香村は、幼いころから成績優秀で、中学卒業まで首席を通した秀才である。高校は神戸の私立進学校である潮高校に進み、現役で阪都大学医学部に進んだ。挫折を知らないエリートで、試験と名のつくものには落ちたことがなかった。香村が医学部に受験したのは、その優秀な能力を生かして医学の分野で自分の名を残すことを夢見たのである。(pp.80~81)

 医学界で出世するためには何が必要か。修行時代に苦労した香村は、先の戦略を立てていた。帰国後、香村はアメリカでの実績を過大にアピールして、講師の地位を手に入れた。そのとき、香村の博士論文を台無しにした指導教官は、助教授になっていた。香村は川邊教授を誘導して、その助教授に無理やり地方大学の教授選に立候補させ、落選させた。助教授は責任を取る形で辞任し、行き場が無くなって開業した。香村は十年前の恨みを執念深く晴らしたのである。
 今回の教授選の有力候補である南聖一郎が、そのあと助教授に昇格すると、香村は医局長になって南の手術件数を減らした。そして手術が好きな南に、香村は何食わぬ顔で言った。
「南先生、大学病院は教育や研究に時間を取られ、どうしても手術件数が少なくなってしまいますね。先生のように腕の立つ外科医にはもったいないですよ。学外の総合病院なら、いくらでも手術の症例があるし、メジャーの病院に行けば教授選にカムバックできますよ」
 香村は巧みにそう持ちかけて、南を大阪中央総合病院の心臓外科部長に転出させることに成功した。(p.83)

 講師や助手も絡んできます。

 廚は三十八歳で、医局に十二人いる助手の中で最年長の筆頭助手である。(中略)
 種田のほうは四十四歳で、医局長を兼務する筆頭講師である。いわば医局の総務部長だが、実態は雑用係の元締めで、うまみのあるポストとはいえない。(中略)
 一方、やり手で通っている廚は、種田よりはるかに大きな野心を抱いていた。香村とちょうど十歳年齢のちがう廚には、香村の後継者になるチャンスがあるからだ。ただし、廚にも問題がないわけではない。峰丘茂の手術のとき、第一助手を務めた滝沢啓治は、講師の中でいちばん若い四十歳である。廚の二年先輩に当たり、研究実績、手術件数でもライバル関係にある。(pp.100~101)

 滝沢は頭の中ですばやく考えた。もし南が次期教授になるとしたら、自分を取り巻く状況は百八十度変わる。滝沢は香村が次期教授になるものときめつけていたので、自分の将来にほとんど希望を持っていなかったのだ。(中略)
 あれは香村が教授になったら、自分を地方に飛ばすとほのめかしたのにちがいない。おそらく紀南医科大学だろう。(中略)
 しかし、もし南が教授になれば状況は一変する。南は研究者として滝沢を高く評価し、性格的にも相通じるところがあった。教授に気に入られておれば、大学にも残れるだろうし、助教授の地位もほぼ確実になる。それだけではない。現在四十歳の滝沢には、次の次の目が出てくるのだ。八歳年上の香村では年齢が近すぎるが、十二歳上の南なら、次の教授選に滝沢がちょうど適齢期になるのだ。そううなれば慌てるのは廚だ。香村の後継にはちょうどよいが、南の次にはやや若すぎるからだ。次の教授が香村か南かで、滝沢にも廚にも状況は雲泥の差となるのである。(pp.167~168)

 というふうに、背景は丹念に書き込まれているのですが、前回も書きましたように、医療裁判やプロジェクト「天寿」など、盛りだくさん過ぎて教授選そのものは焦点がボケてしまっている感じです。

◎『破裂』における学閥

香村が阪都大学の教授ポストに執着するのも、予算獲得の面で大いに有利であるからだ。国は東央大、京帝大、慶陵大、阪都大の四大学に、他大学とは桁ちがいの予算を配分する。重点配分で世界レベルを目指すためである。従って、世界を目指すなら、この四つの大学以外の教授では意味がないのである。(p.79)

 厚労省の予算は科学技術振興費と呼ばれ、年間およそ百九十億円である。(中略)
 ちなみに、このシステムは一見フェアなように見えるが、実態は、例年、東央大が全予算の約半分を取り、残った分の半分を京帝大、さらにその残りの半分を阪都大が取って、その残り、つまり全体の八分の一を全国の大学に分けているのである。(p.241)

 東央大は東京大学、京帝大は京都大学、慶陵大は慶應義塾大学、阪都大は大阪大学。『白い巨塔』に負けず劣らずわかりやすい仮名ですね(笑)。紀南医科大学は、和歌山医科大学のことでしょう。『白い巨塔』で浪速大学の系列大学とされた和歌山大学と同じ位置付けです。
 しかし、東大、京大が別格なのはわかりますが、阪大が他の旧帝大に較べて、そんなに突出した存在なのでしょうか。疑問が残るところです。
 ちなみに著者の久坂部羊は大阪大学医学部出身の医師ということです。

※画像は大阪大学医学部
大阪大学医学部

  1. 2006/07/29(土) 22:06:42|
  2. 読書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《読書》久坂部羊『破裂』幻冬舎

破裂


●〔49〕久坂部羊『破裂』幻冬舎 2004
(2006.07.24読了)
 「これぞ、平成版『白い巨塔』!」という惹句にひかれ、市民図書館で借りて読みました。

医者の診断ミスで妻を傷つけられた元新聞記者の松野は、“医療過誤”をテーマにしたノンフィクション執筆を思いつく。大学病院の医局に勤務する若き麻酔科医・江崎の協力を得て、医師たちの過去の失敗“痛恨の症例”や被害患者の取材を開始した。その過程で、「父は手術の失敗で死んだのではないか」と疑念を抱く美貌の人妻・枝利子が、医学部のエリート助教授・香村を相手に裁判を起こす。が、病院内外の圧力により裁判は難航。その裏で医療を国で統制しようと目論む“厚生労働省のマキャベリ”佐久間が香村に接触を始める…。枝利子の裁判の行方は?権力に翻弄される江崎と松野の運命は?そして佐久間の企図する「プロジェクト天寿」とは?大学病院の実態を克明に描き、来る日本老人社会の究極の解決法まで提示する、医療ミステリーの傑作。

 結論からいうと、面白く読むことができました。最後は加速度的に、一気に読みました。
 しかし、期待が大きかっただけに不満もあります。
 大きく三つのテーマがありました。医療過誤裁判、医学部教授選、そして「プロジェクト天寿」です。最初の二つだけならばもろに「白い巨塔」なのですが、三つめがあるので、医療ミステリーになっています。
 「プロジェクト天寿」の発想自体は面白く、考えさせられること多々だったのですが、テーマが三つになるとどれも中途半端になってしまった感があります。
 もう一つの不満は今一つキャラが立っていないということです。
 主な登場人物は以下の通りです。

 ○松野公造…ジャーナリスト。本人も妻もかつて診断ミスで苦しんだ経験を持つ。新聞社を退社し、〈医療過誤〉をテーマに「天籟ノンフィクション大賞」を狙う。
 ○江崎峻…阪都大学病院麻酔科医師。35歳。松野に協力し、「痛恨の症例」集めをする。
 ○香村鷹一郎…阪都大学心臓外科助教授。48歳。来年停年退官する心臓外科教授の後釜を狙う。ペプタイド療法を研究。
 ○佐久間和尚…厚生労働省主任企画官。キャリア官僚。“厚生労働省のマキャベリ”。「プロジェクト天寿」を企図。40歳前。
 ○中山枝利子…美貌の人妻。父を香村の手術ミスで殺されたとして、医療過誤の裁判をおこす。
 ○安倍洋子…阪都大学病院中央手術部看護師。29歳。

 江崎はなぜそこまで理想に燃えて、医療過誤を追求しようとするのか(「白い巨塔」で言えば里見か)。
 香村はなぜ、そこまで野心に燃えて、研究と地位を求めるのか(「白い巨塔」で言えば財前か)。
 佐久間はなぜ、「プロジェクト天寿」という常軌を逸した途方もないプロジェクトを企図したのか。
 枝利子はなぜ、江崎に惹かれ、夫から心が離れていったのか(「白い巨塔」で言えば佐枝子か)。
 それぞれの人物について、丹念に背景は書き込まれているのですが、その人物のとる行動にあまり必然性を感じないのです。なぜなんでしょう。
 安倍洋子は一服の清涼剤のような、好感の持てるキャラクターでした。

 帯の「医者は、三人殺して初めて、一人前になる。」という文句もショッキングですが、本書の前半部分で出てくる数々の「痛恨の症例」には慄然としてしまいます。これが現実の姿だとすれば、我々はいったい誰に自分の命を委ねたらよいのでしょうか。
  1. 2006/07/28(金) 20:12:41|
  2. 読書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《雑記》『白い巨塔』研究(その14)

◎トリビア(1)

★第一外科教授選候補者
 原作では、第一外科教授選に名乗りを上げたのは以下のような人たちです。
  ・名古屋大学矢田教授
  ・千葉大学橘助教授
  ・東北大学三上教授
  ・三重大学雨宮教授
  ・洛北大学曲直部助教授
  ・金沢大学菊川教授
  ・広島大学今教授
  ・岡山大学梶谷教授
  ・徳島大学葛西教授
 これが、1978年版のドラマでは微妙に変わっています。
  ・千葉大学橘助教授 → 立花助教授
  ・東北大学三上教授 → 南教授
  ・洛北大学曲直部助教授 → 遠藤助教授
 さらに、遠藤助教授は佃が財前に、葉山が鵜飼に示したメモでは「遠藤教授」になっているのですが、候補者選考会議の黒板では「遠藤助教授」になっていました。
 本筋には関係ない、どうでもいいことですが、気になります。

★差別表現
 1965年発行の新潮社版では「まるでプロレスラーか犬殺し屋みたいな」となっているところが、現行の文庫版では「まるでプロレスラーみたいな」になっていました。

★読み方
 1965年発行の新潮社版では葛西教授は「かっさい」とルビが振ってあるのですが、現行の文庫版では「かさい」となっていました。

※画像は洛北大学病院(笑)
京都大学病院

  1. 2006/07/27(木) 21:20:26|
  2. 『白い巨塔』研究
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《雑記》光栄な話

 塩山芳明さんのホームページの「漫画屋無駄話 其の1992」「ネットの批評もうれしい。「―購書&購盤日記―」のようなベタボメも悪くないが、文章上の矛盾も鋭く突いた、「レイヤーを統合」が、一番今までの所身にしみた。」とありました。
 この「―購書&購盤日記―」というのは、拙ブログのことでしょうか。そうであるとすれば、極めて光栄な話です。

※画像は「漫画屋ホームページ」の「懐かしの中年アルバム」より
塩山芳明

  1. 2006/07/26(水) 06:07:42|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《購盤》2006.07.22 CD専門館・ファミリーレンタル

CD専門館・ファミリーレンタル


◎J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲

 イ・ムジチ合奏団
フィリップス 2枚組 ¥1,680

 1965年の旧録音は持っていましたが、これは1984年の新録音。
イ・ムジチ/ブランデンブルク



◎ヤナーチェク:シンフォニエッタ/タラス・ブーリバ

 ヤナーチェク:シンフォニエッタ・タラス・ブーリバ
  カレル・アンチェル/チェコpo
スプラフォン ¥580

 シブいかと思って。
アンチェル/タラス・ブーリバ



◎モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番・第21番/ワイセンベルク、ジュリーニ

 モーツァルト
  ピアノ協奏曲第9番変ホ長調K.271
  ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467
 pf:アレクシス・ワイセンベルク カルロ・マリア・ジュリーニ/VSO
EMI ¥580

 モーツァルト生誕250周年なので。
ワイセンベルク/ジュリーニ/モーツァルト

  1. 2006/07/25(火) 05:32:48|
  2. 購盤
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《購書》2006.07.22 啓文社ポートプラザ店

啓文社ポートプラザ店

●2006152,社会科授業研究の理論,岩田一彦,,明治図書,,1994,¥2,016
 職業上の興味と必要性から。

◎『裏グーグル Google秘密のテクニック大全-ヤバイ検索やっちゃいます!-』アスペクトムック ¥1,260
 有益な情報が得られるかと思って。最近、グーグル本が流行っているみたいですね。
裏グーグル

  1. 2006/07/24(月) 11:35:36|
  2. 購書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《読書》北尾トロ+高野 麻結子(編著)『新世紀書店-自分でつくる本屋のカタチ-』ポット出版

新世紀書店


●〔48〕北尾トロ+高野 麻結子(編著)『新世紀書店-自分でつくる本屋のカタチ-』ポット出版 2006
(2006.07.20読了)
 『本の雑誌』7月号の「今月の1冊」で紹介されていたので、市民図書館で借りて読みました。まあ、面白く読むことができました。
 イギリスの古本の町である「ヘイ・オン・ワイ」に関する文章は面白く読めました。行ってみたいとも思いましたが、外国語の本ばっかりではねえ。日本にもこんな町ができればベストなんですが。
 「新世紀書店」の仮店舗営業をめぐる話はナナメ読み。
 「本・書店・出版を巡る五夜連続対談」は面白く読めました。


鎌垣 書籍全体の売り上げが落ちていくのは必至ですし、個人的には、ポイントになるのは再販制度がなくなった時だと思います。本とは10年ほど前に再販がはずれるだろうと思っていたんですね。その再販がはずれるときに、僕はどこにいるのがいいのかっていうのは常に考えていました。取次にいちゃだめだと。ただ現状を見ると、あと5年しても再販ははずれないように思います。今の状態のまま、あと5年くらいはじりじりと書店の数が減っていきますね。
 その次に大型書店が倒れていきます。初期投資をどうやって挽回できるかわからない書店もありますから、それは無理がきますよね。だから町の小さい本屋さんが倒れた後に、大きい本屋さんにぱっと飛び火していきますよね。(「取次とはなんだ 鎌垣英人◎大阪屋・EC事業部」pp.106~107)


 誤植が目立ちました。
 p.128でヴィレッジ・ヴァンガードの代表者を「菊池敬一氏」としていましたが、正しくは「菊地敬一」。永江朗の本も『菊池君の本屋』ではなく『菊地君の本屋』。その他も全部「菊池」になってました。
 また、斉木博司の紹介で「会社員生活を経て、1997年、当時日本では珍しかったカフェ併殺の古書店を開業。」とあります(p.205)。ダブルプレー?!
  1. 2006/07/23(日) 19:48:16|
  2. 読書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《読書》塩山芳明(著)・南陀楼綾繁(編)『出版業界最底辺日記-エロ漫画編集者「嫌われ者の記」-』ちくま文庫


●〔47〕塩山芳明(著)・南陀楼綾繁(編)『出版業界最底辺日記-エロ漫画編集者「嫌われ者の記」-』ちくま文庫 2006
(2006.07.17読了)
★この本の成り立ちと概要

 塩山芳明は、エロ漫画下請け編集者である。(中略)
 本書は、その塩山が一九八八年から現在まで書き続けている下請け編集者の日常を綴った日記を抜粋・編集したものである。(中略)
 単行本『嫌われ者の記』は、一九九六年に一水社から刊行された。原稿用紙八百枚分という恐るべき分量だったため、今回の文庫化にあたっては、単行本から三分の一程度を選び、その後の連載からの抜粋を加えた(「嫌われ者の記」が中断していた約二年間は、「月刊塩山無駄話」という同工異曲の日記連載で埋めてある)。(南陀楼綾繁「編者まえがき」pp.4~5)

★出会い
 上でも述べられている『嫌われ者の記-エロ漫画業界凶悪編集者血闘ファイル-』一水社(1996)を1997年に買って読みました。あまりの面白さに、『現代エロ漫画』一水社(1998)もオンライン古書店で買いました。あげくには、塩山芳明が編集しているエロ漫画雑誌も何冊か買って読みました(^_^;)。
 今回、ちくま文庫から本書が発刊されることを知り、これも速攻で買って読みました。期待通りでした。

★面白さ

「塩山芳明は、日本のセリーヌだ」、と書けば、きっと塩山芳明は、「ジジィ転がしが上手いだけのデブ福田が、大げさに持ち上げれば、ハァハア涎をたらして、尻尾振ると思いおって」というようなことを、もっと上手く、かつ辛辣に書くだろうが、まあ、そう考えているんだからしょうがない。罵りが芸術の域に達しているだけではない、仔細なことから宇宙まで、さまざまな事象にたいする癒されることのない憤りと、自らのヒューマニティにたいする含羞、暗いユーモアとやりきれないほどの哀愁において、塩山芳明は、中上健次よりも柳美里よりも、セリーヌに喩えるにふさわしい。小説家じゃないけどね。(福田和也「解説」p.340)

 罵倒芸の面白さはピカイチでしょう。「はみ出し銀行マン」シリーズの横田濱夫と甲乙つけがたいと思います。しかし、編者が南陀楼綾繁で、解説が福田和也。豪華ですね。

 『Mate』の下描きが届いた獅月しんらにも電話。「テメーもペイントロボと同じで童貞か?」「!! えっ……はっ……その……」(確率99%と推測。同じく鬼姫75%)。「オマンコの位置が上過ぎ。ヘソの下じゃなく、太腿の間にあんの!!」「は……はいっ!!」こーゆの、海見たこともねえ飛騨の木こりが、漁師志願の若者に泳ぎを教えるとでも?(p.265)


★本と映画
 この日記は読書日記、映画日記にもなっています。
 塩山芳明が読んでいる本のラインアップがもうシブ過ぎ。エロ漫画編集という仕事との落差に目眩でクラクラしてしまいます。

 上信電車で、『かみそりの刃(下)』(S・モーム・ちくま文庫・本体728円)を読了。ラリーの印度哲学談義にはうんざりさせられ、初めてページを飛ばしたが、手持ちのモームの本はこれが最後なので、やはり寂しい。ビリー・ワイルダーやモーム、谷崎潤一郎や深沢七郎の作品群は、味わっているうちは至福の時だが、その後は一挙に不幸に。「また残りを一作品減らしてしまったか……」との後悔の念で。(p.140)

 ムシャクシャ気分で、神保町を散歩。「田村書店」で、迷ってた『近松秋江全集』(全13巻・八木書店)を、11万で購入。かつて買った本では最高額だった、6万近い『バルザック全集』を軽く凌駕。(p.190)


★私生活
 著者は現在群馬県富岡市在住。東京の飯田橋の事務所まで2時間以上をかけての新幹線通勤です。家族は妻と娘2人。健全な市民生活を営んでいるようです。このギャップがまたいい味わいを出しています。もっとも地元では《富岡市の暴音防災無線から市民の健康を守る会》と会を作って活動しているようですが。
 長時間の電車(新幹線)通勤も読書時間の確保という点からはちょっとだけ魅力を感じます(私の現在の通勤は車で5分)。

★その他

この病院(引用者註:警察病院)には学生時代、明大で内ゲバがあると、すぐ近くに日大病院があるにもかかわらず、よく学生が運び込まれた。(途中で警官の激テロサービスあり)対革マル戦で連戦連敗だった青解(反帝学評)は、従来のゆるやかな党派活動から、次第に「早稲田の革マル支配を見習え!!」と方針を変え、ノンセクト中心の、明大夜間部文学部自治会の主要メンバーを、暴力的に追い出し始めた。76年、俺の友人も文学部事務室前で、顔見知りの党派女性活動家に、千枚通しでブスリ。一方的被害者だが、機動隊員に蹴られながら、この病院に運ばれた。もっとも今や、青解内部で激しい殺し合い。更に噂じゃ、例の“千枚通しの女”は、漫画屋に遠くない場所に住み、幸せな家庭を築いているとか。(p.226)


☆漫画屋ホームページ

※画像は『嫌われ者の記』
嫌われ者の記

  1. 2006/07/22(土) 10:24:30|
  2. 読書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《雑記》『白い巨塔』研究(その13)

◎『白い巨塔』におけると学閥と閨閥(11)
(承前)
 『学閥支配の医学』の「第3章 学閥のいま」では、大学別の学閥地図も載っています。

「完全な独立」とは教授のポストの五十%以上を自校の卒業生で占める場合。「ほぼ独立」とは自校の卒業生が三十五%から四十九%、ほかの大学よりは多い場合。「傘下」は五十%以上が学閥校に占められている場合。「ほぼ傘下」は三十五%から四十九%が学閥校に占められている場合。「影響下」とは十五%から三十四%が学閥校に占められている場合。(p.132)

・京都大学医学部閥
  傘下
   関西医科大学
  ほぼ傘下
   滋賀医科大学
  影響下
   福井医科大学
   三重大学
   近畿大学
   島根医科大学
   香川医科大学
・大阪大学医学部閥
  傘下
   兵庫医科大学
  ほぼ傘下
   愛媛大学
  影響下
   近畿大学
(pp.136~137)

 以上のことから、『白い巨塔』における下記のような学閥関係は現在では一部を除いて成り立たないことがわかります。ただし、ウィキペディアの奈良県立医科大学の項目には「長年大阪大学の影響が強かったが、現在の学長吉田修は京都大学出身であり、特定の他大学の影響は少なくなりつつある。」という件があります。

【浪速大学医学部第一外科教授選における学閥関係】
 浪速大学系-奈良大学・和歌山大学・徳島大学
 洛北大学系-三重大学
 九州大学系-広島大学・岡山大学

 以上からわかることは、旧制六医大は旧帝大の支配からは脱したが、その旧制六医大は、千葉大を除き新設医大を、東大が行ったのと同じようにほぼ傘下、あるいはその影響下に置いていることである。同様に旧帝大は新設医大の多くに教授を送り込み、しっかり学閥を作り上げている。(pp.141,145)

 『白い巨塔』が描かれた1960年代前半には、後発の医大あるいは医学部はまだ自校出身教授が育っていなかったので、現在よりはっきりと学閥が存在したのでしょう。

※画像は奈良県立医科大学附属病院
奈良県立医科大学

  1. 2006/07/21(金) 21:19:42|
  2. 『白い巨塔』研究
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《購書》2006.07.20 eBOOKOFF

eBOOKOFF
戦う哲学者のウィーン愛憎

●2006149,戦う哲学者のウィーン愛憎,中島義道,,角川書店,角川文庫,1999,¥315
 中島義道なので。

●2006150,俺も女を泣かせてみたい,小谷野敦,,筑摩書房,,2004,¥893
 小谷野敦なので。

●2006151,著作権の考え方,岡本薫,,岩波書店,岩波新書,2003,¥368
 著作権の勉強をしたいと思って。
  1. 2006/07/20(木) 23:54:00|
  2. 購書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《雑記》『白い巨塔』研究(その12)

◎『白い巨塔』におけると学閥と閨閥(10)
 米山公啓『学閥支配の医学』集英社新書(2002)という本があります。医学界における学閥支配の実態について述べた本です。
 著者の米山公啓は、「1952年山梨県生まれ。聖マリアンナ医科大学卒業。専門は神経内科。1998年同大学第二内科助教授の職を辞し、著作活動に。」という人です。
 この本の「第3章 学閥のいま」では、各大学の教授の出身大学をカウントして、その大学が何系統にあたるかを調査しています。

 『白い巨塔』の中では、大学の系列は以下のようになっています。
 浪速大学系-奈良大学・和歌山大学・徳島大学
 洛北大学系-三重大学
 九州大学系-広島大学・岡山大学
 なお、実在の奈良大学、和歌山大学には医学部は存在せず、それぞれ奈良県立医科大学、和歌山県立医科大学がモデルと思われます。

 『学閥支配の医学』の中ではモデルとなった各大学がどうなっているかというと、

 ・奈良県立医科大学(三十四)
  自校出身二十人、阪大四人、東大一人で完全に独立している。ほか八校九人。
 ・和歌山県立医科大学(三十六)
  自校出身十七人、京大、大阪市大各三人、東大二人。ほぼ独立とみていいだろう。ほか十一校十一人。
 ・徳島大学医学部(四十二)
  自校出身十九人、東大、神戸大各三人、ほか十二校十七人。ほぼ独立とみていい。
 ・三重大学医学部(三十七)
  自校出身十二人、京大七人、阪大四人、東大、名古屋大各三人で、独立には至らない。京大の影響を受ける。ほか六校八人。
 ・広島大学医学部(三十六)
  自校出身二十四人、京大、九大各二人、東大0人、完全独立して対抗する勢力もない。ほか八校八人。
 ・岡山大学大学院医歯学総合研究科・医学部(四十七)
  自校出身二十七人、東大、北大各四人。完全に独立している。ほか九校十二人。
  (カッコ内は全教授数。pp.124~129)

(この項続く)
学閥支配の医学

  1. 2006/07/19(水) 20:48:11|
  2. 『白い巨塔』研究
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《雑記》『白い巨塔』研究(その11)

◎『白い巨塔』におけると学閥と閨閥(9)

「財前というのは、ちょっとばかりの才能を鼻にかけ、若輩のくせに思い上がって、のさばり過ぎている、廊下であっても、われわれ先輩に対するあの態度は何だ、まるでプロレスラーか犬殺し屋みたいな大きな図体を廊下一杯にのさばらせ、もう少し小さくなって歩けんものかね、僕が奈良大学から呼び戻されて、母校へ帰って来た時、真っ先に目についたのはあいつの増長ぶりだよ、この際、あの生意気な根性を徹底的に叩き直すためにも、地方へ出して冷飯の味を覚えさせることだな」
 浪速大学の助教授から、系列校である奈良大学の教授に出され、七年ぶりに一昨年、母校へ戻って来たばかりの乾は、財前が何の苦労も、寄り道もせずに、ストレートに本学の教授になることが苦々しい様子であった。(p.199)

 財前助教授、菊川教授に次ぐ第三の候補者は徳島大学の葛西教授です。彼を推すのは整形外科・野坂、皮膚科・乾、小児科・河合のいわゆる少壮教授グループです。ルサンチマンに満ちた人たちですね。
 しかし、「犬殺し屋」とは……。今では絶対に使わぬ表現ですね。

※画像は新潮文庫版第4巻
白い巨塔4

  1. 2006/07/18(火) 05:53:37|
  2. 『白い巨塔』研究
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《購書》2006.07.16 宮脇書店福山多治米店

宮脇書店福山多治米店

●2006148,[図解]これならわかる!太平洋戦争-なぜか学校では教えてくれない「あの戦争」のすべてがわかる!-,三野正洋,,PHP研究所,,2006,¥1,000
 軍事物なので。

◎怪盗クイーンはサーカスがお好き,はやみねかおる(作)K2商会(絵),,講談社,講談社青い鳥文庫,2002,¥651
 娘(小4)が欲しがったので。

◎『小学一年生』8月号(小学館) ¥540
 娘(小1)が欲しがったので。付録は「ポケモンじゃんけんサンダル」他。
『小学一年生』8月号

  1. 2006/07/17(月) 21:40:53|
  2. 購書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《購書》2006.07.16 ブックオフ福山野上店

ブックオフ福山野上店
 私がよく行くブックオフ福山野上店、福山蔵王店、神辺店では新書(岩波、中公、講談社現代、ちくま等々)は一律¥250でした。最初、ブックオフはどこでもこの値段かと思っていたのですが、全国のブックオフ巡り(?)をするようになって、違うことに気付きました。福山に住んでてラッキー!と思ってました。
 しかし、今回行ってみると、新書の値段が値上がりしていました。だいたい¥400~¥450。少し古いものになると¥350。ショックでした。
 ブックオフの原則は、定価の半額で売り、3か月売れないと¥100コーナーに移動ではなかったのでしょうか。これでは半額以上ですね(6割ぐらい?)。他の本もチェックしてみました。単行本はルール通り半額でしたが、文庫はやはり6割ぐらいでした。
 全国的にはどういう状況なのでしょうか。

●2006148,菜摘ひかるの私はカメになりたい,菜摘ひかる,,角川書店,角川文庫,2001,¥105
●2006149,えっち主義,菜摘ひかる,,角川書店,角川文庫,2002,¥105
 少し前に読んだ『ワンコイン悦楽堂』、そして今読んでいる『出版業界最底辺日記』で菜摘ひかるについて言及されていたので、買いました。

●2006150,特集・本の雑誌3-活字の愉しみ篇-,本の雑誌編集部(編),,角川書店,角川文庫,1995,¥105
 『本の雑誌』なので。

●2006151,13デイズ,デヴィッド・セルフ(脚本)ティム・ロリンズ(著),富永和子,角川書店,角川文庫,200,¥105
 「13デイズ」に興味があるので。
13デイズ

  1. 2006/07/16(日) 20:58:42|
  2. 購書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《購書》2006.07.15 宮脇書店福山多治米店

宮脇書店福山多治米店

●2006147,萌えるクラシック-なぜわたしは彼らにハマるのか-,鈴木淳史,,洋泉社,新書y,2006,¥819
 鈴木淳史なので。

◎『ヤフーインターネットガイド』8月号 ¥790
 情報収集のため。
『ヤフーインターネットガイド』8月号

  1. 2006/07/15(土) 18:32:38|
  2. 購書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《購書》2006.07.13 宮脇書店福山多治米店

宮脇書店福山多治米店
出版業界最底辺日記

●2006146,出版業界最底辺日記-エロ漫画編集者「嫌われ者の記」-,塩山芳明(著)・南陀楼綾繁(編),,筑摩書房,ちくま文庫,2006,¥998
 塩山芳明なので。待望の書。
  1. 2006/07/14(金) 05:43:15|
  2. 購書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《雑記》『白い巨塔』研究(その10)

◎『白い巨塔』におけると学閥と閨閥(8)
 いよいよ第一外科の教授選がはじまり、候補者が揃いました。

「十二月十日締切日までに、本学へ推薦されて来ました候補者は十名で、その氏名を発表しますと、名古屋大学矢田教授、千葉大学橘助教授、東北大学三上教授、三重大学雨宮教授、洛北大学曲直部助教授、金沢大学菊川教授、広島大学今教授、岡山大学梶谷教授、徳島大学葛西教授、それに本学の財前助教授の諸氏であります」(p.186)

「そう致しますと、洛北大学系では、洛北大学の脳・神経外科の曲直部助教授と、三重大学の雨宮教授ですが、二人を比較すると、やはら洛北大学の曲直部助教授になるでしょうね。」(p.189)

「まあ、そうした議論はあとですることにして、選考をすすめましょう、次は九大系の広島大学の血管外科の今教授と岡山大学の制癌剤研究の梶谷教授のどちらかということになりますが、(後略)」(p.189)

「(前略)それに今教授は、あと二年で退官する母校の九州大学第一外科教授の後任として呼び返されるそうですよ」(p.192)

 名古屋大学、東北大学の教授が公募に応じてきているようですが、すでに旧帝大医学部の教授の席を得ているものが、さらに浪速大学の教授の地位を望むものなのでしょうか。

※画像は新潮文庫版第3巻
白い巨塔3

  1. 2006/07/13(木) 05:35:55|
  2. 『白い巨塔』研究
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《読書》坪内祐三『三茶日記』本の雑誌社


●〔46〕坪内祐三『三茶日記』本の雑誌社 2001
(2006.07.09読了)
 枕上の書としました。本を買って、読み、文章を書く。憧れる生活です。それはそれで大変でしょうが。
 ところで、文中にしばしば登場する「文ちゃん」って、坪内祐三の何なんでしょう。
三茶日記

  1. 2006/07/12(水) 05:37:32|
  2. 読書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《雑記》『白い巨塔』研究(その9)

◎『白い巨塔』におけると学閥と閨閥(7)

「ですが、次期教授の呼び声の高い助教授が、ストレートに教授に昇格するとは、必ずしもきまっていませんからね、つい最近では、あの第三内科の教授の場合だって、そうじゃありませんか、呼び声の高かった本学出身の助教授が駄目で、京都の洛北大学系から来たじゃあありませんか」
 佃が事実を突きつけるように云うと、
(中略)
「先生もほんとうにそうお考えですか、それで安心しました、僕たち医局員は、この際、財前助教授が教授になり、金井講師が助教授になられることが、教室のために一番よいことだと思っていますよ」
 勢い込むように云うと、
「いや、俺など、まだ助教授なんて柄じゃないよ、第一、助教授なら、筆頭講師の南先生の方が順序だし、適任だろう」
 と云いながらも、金井の眼に佃の言葉を肯定する笑いが奔るのを、佃は見逃さなかった。(pp.127~128)

 今津は、第二外科の主任教授であったが、六年前の教授選挙の時、東の強力な後押しで、危うく学外からの移入教授を阻止し、助教授から教授に格上げになったのであった。それだけに今もって、東に非常な恩義を感じ、一般に大学病院の第一外科と第二外科というのは、互いに競争意識が激しく、仲の悪いのが通例であったが、東が主宰する第一外科と、今津が主宰する第二外科は、この通例を破って非常に協力的であった。(p.132)

 浪速大学は純血主義のようにみえても、結構移入教授(あるいはその動き)も多いようですね。

 鍋島外科病院の院長である鍋島貫治は、財前より十年先輩の第一外科出身の外科医で、市会議員の肩書きを持ち、その方の役職も忙しく飛び廻らなければならなかったから、難しい手術の時は、何時も財前に手術を依頼して来ていたのであった。(p.142)

(財前)「そうなんですよ、最初、僕も半信半疑だったんですが、今日、自分の眼ではっきりと東教授の顔色を見て、これは確かだと思い、僕もよっぽど東教授に嫌われたものだと、がっくり来てしまいましたよ、ここへ手術に来るのも、案外、先が短いかもしれません、外から教授が入ると、僕は和歌山大学か、奈良大学あたりへ教授として出されてしまいますからね」
(中略)
(鍋島)「何? 東都大学系――、そうすると、二代も続いて東都大学にやられるというわけか、そんなことは断じて許せん、わしだけやない、第一外科出身で他大学へ行っている者も、開業している者も、東都大学出身の教授が二代も続くなど全く聞き捨てならん、だいたい東都大学などというのは、国立大学の中でも権力主義の権化のようなところで、浪速大学のような在野精神に満ちているところとは、根本的に相容れぬものがある」(p.143)

 教授選に向けて、だんだんと役者が揃ってきました。

※画像は新潮文庫版第2巻
白い巨塔2

  1. 2006/07/11(火) 05:41:52|
  2. 『白い巨塔』研究
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《購書》2006.07.07 廣文館福山ロッツ店

廣文館福山ロッツ店

●2006145,〈狐〉が選んだ入門書,山村修,,筑摩書房,ちくま新書,2006,¥756
 〈狐〉なので。

◎魔夜峰央『パタリロ源氏物語!』(3) 花とゆめCOMICS 2006 (¥410)
 結局、アスタロトとベールゼブブなのですね。
パタリロ源氏物語3

  1. 2006/07/10(月) 05:53:59|
  2. 購書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《購書》2006.07.05 ブックオフ西条中央店

ブックオフ西条中央店
東広島へ出張する時の定番です。

●2006140,他人を見下す若者たち,速水敏彦,,講談社,現代新書,2006,¥350
 面白いかと思って。

●2006141,ホワイトハウスの記憶速読術,斉藤英治,,双葉社,ふたばらいふ新書,2001,¥105
 役に立つかと思って。

●2006142,パソコンで仕事が10倍おもしろくなる!,佐々木康之,,宝島社,宝島社新書,2001,¥105
 役に立つかと思って。

●2006143,新しい民族問題-EC統合とエスニシティ-,梶田孝道,,中央公論社,中公新書,1993,¥105
 知的興味関心から。

●2006144,新版 歴史用語事典,,,正進社,,,¥105
 息子(小6)に使わせようかと思って。

※画像は『新版 歴史用語事典』の内容。
歴史用語事典

  1. 2006/07/09(日) 05:43:37|
  2. 購書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《読書》夏目房之介『マンガは今どうなっておるのか?』メディアセレクト

マンガは今どうなっておるのか?


●〔45〕夏目房之介『マンガは今どうなっておるのか?』メディアセレクト 2005
(2006.06.29読了)
 枕上の書としました。
 夏目房之介はご存じのように夏目漱石の孫です。昔は肩書きがマンガ家でしたが、現在はマンガ・コラムニストを名乗っています。著者はマンガ批評に新たな地平を拓いた人ですが、本書ではマンガの“今”について、様々な面から語られていました。

 これに限らずいしかわじゅんの、ときにいいすぎる断定口調は「辛口」イメージを彼に与え、それも番組人気の要素となった。おかげで彼は業界一部から嫌われ者になったりもしている(少なくとも僕の見聞の限りでは)。僕も「うまいヘタ」について語っているが、いしかわのインパクトが強いので彼の発言と受け取られていることすらある。
 よく聞くのは「いしかわじゅんの絵を見たら、よくあんな偉そうなこといえると思う。自分で描いてみろといいたい」という(主にファンからの)感情的反発だが、これはじつはたいした問題ではない。マンガを描けない者は「うまいヘタ」や、それに類する評価をできない、ということになると、批評も成り立たなくなるからだ。
 絵を描けない人は絵画批評ができず、音楽を演奏できない人は音楽批評ができない。小説を書けない人が文芸批評をしてはいけないことになる。そんな社会は、ロクなもんじゃないのである。(「マンガの「うまいヘタ」 評価基準の厄介な問題」pp.190~191)

 これって、要するにいしかわじゅんが絵がヘタと言ってるんでしょうか(^_^;)。
 上記の文章は「BSマンガ夜話」に関してのものですが、「BSマンガ夜話」、どうなっているんでしょう? 2005年3月に放送されてから、もう1年以上放送されていません。ウィキペディアによると打ち切りではないらしいということですが……。

※夏目房之介の「で?」
  1. 2006/07/08(土) 14:43:36|
  2. 読書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《読書》石原千秋『大学生の論文執筆法』ちくま新書

大学生の論文執筆法


●〔44〕石原千秋『大学生の論文執筆法』ちくま新書 2006
(2006.06.28読了)
 『秘伝 中学入試国語読解法』を読んでいる時、タイミング良く本書が発売になったので、買って読みました。
 この本は次の2部から成り立っています。
第一部 秘伝 人生論的論文執筆法
第二部 線を引くこと―たった一つの方法

 第一部は「論文執筆法」とはなっていますが、How toというより、大学生の知的生活に関するエッセイ的アドバイスという感じでした。雑談や寄り道も多くあり、雑多な内容でしたが、面白く読むことができました。

 以下に、大学生のための有益なアドヴァイス(^_^;)をランダムに引用してみます。

 よく大学の授業がつまらないという声を聞くが、考えてみてほしい。週に一〇コマ以上の授業がみんな興奮するほど面白かったら、君たちだって身が持たないだろう。教師と馬が合うとか合わないという問題もあるし、週に二コマか三コマ「面白い」授業があったら、学生生活として十分ペイしているはずだ。(p.17)

 誤解のないように付け加えておくと、僕はこの本の内容がダメだと言っているわけではない。世の中にはすごく優れた思考力があるのに、文章が下手な人がいる。それに、読むに値するから批判しているのである。つまらない本を批判しても仕方がないだろう。文科系の学生なら、『〈民主〉と〈愛国〉』ぐらいは読んでおいてほしい。(p.35)

 それよりも、近年の小森陽一がほとんど本を出すたびごとにと言っていいくらい、「パクリ」を指摘されたり抗議を受けたりしたりしているのは、超一流の研究者だけに、残念でならない。政治的なことも含めて(それが大切な仕事であることはたしかだが)、いろいろな仕事を引き受けすぎ、そして書きすぎだからなのではないかと思う。小森陽一は個人的なチャンネルはすでに失われているし、誰かが一度はきちんと言っておかなければならないことだと思うので、あえてここに書いておく。(p.38)

 僕が前に勤めていた成城大学文芸学部は半ば東京大学の植民地化していて、教員の約三分の一が東京大学の出身者だった。その中には、研究、人格ともに立派で、僕などが何をどうやってもまるで足元にも及ばないと思わせられる、惚れ惚れするような教員も数名はいた。エリートというのは、こういう人のことを言うのだろうかとつくづく思ったものだ。
 しかし、それ以外は「昔、東大を受験したときには秀才だったんだろうなぁ」という感想を抱かせるような教員ばかりだった。特に文科系の研究は多くは一人で行うものだから、その教員の優劣がはっきり出てしまうのである。東大でこんな感じなのだ。受験勉強なんて、その程度のものだ。(pp.104~105)

 文科系の研究者の世界では、「鉄のトライアングル」があるようだ。「東大、朝日新聞、岩波書店」である。これらを結びつけているのは共産党、あるいは少し古い左翼思想である。(pp.125~126)

 なお、第一部の最後に「宿題」が出ています。

 最後に、学生諸君に宿題をひとつ。この第一部の奇妙な形式は、ある有名な哲学書を真似ている。翻訳では岩波文庫とちくま学芸文庫から出ている。文科系の学生なら、学生時代にその本を買って、パラパラ読むことぐらいはしてほしい。

 ヴィトゲンシュタインの『論理哲学論考』ですね。

 第二部は石原千秋お得意の「二項対立」による思考法が、具体的な文章をあげながら、解説されていました。
  1. 2006/07/07(金) 05:50:42|
  2. 読書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《購書》2006.07.05 フタバリサイクル館西条店

フタバリサイクル館西条店
東広島へ出張する機会があったので寄ってみました。
フタバリサイクル館西条店

●2006137,数学嫌いな人のための数学-数学原論-,小室直樹,,東洋経済新報社,,2001,¥840
 知的興味関心から。

●2006138,大学生の常識,鈴木雄雅,,新潮社,新潮選書,2001,¥525
 面白いかと思って。

●2006139,もう、きみには頼まない-石坂泰三の世界-,城山三郎,,文藝春秋,文春文庫,1998,¥105
 面白いかと思って。
  1. 2006/07/06(木) 18:03:17|
  2. 購書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《購書》2006.07.02 ブックオフ福山野上店

ブックオフ福山野上店

●2006133,志ん朝のあまから暦,古今亭志ん朝・齋藤明,,河出書房新社,河出文庫,2005,¥400
●2006134,志ん朝の風流入門,古今亭志ん朝・齋藤明,,筑摩書房,ちくま文庫,2002,¥400
 落語物なので。

●2006135,大学医学部の危機,保阪正康,,講談社,講談社文庫,2002,¥350
 医学部物なので。

●2006136,旅行者の朝食,米原万里,,文藝春秋,文春文庫,2004,¥300
 米原万里なので。

◎『児童心理2005年10月号臨時増刊 特集 親と教師の信頼関係づくり-子どもの学習意欲・人間関係をはぐくむために-』金子書房 ¥105
 役に立つかと思って。
児童心理2005年10月号臨時増刊

  1. 2006/07/05(水) 05:19:52|
  2. 購書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《購書》2006.07.01 啓文社ポートプラザ店

啓文社ポートプラザ店

◎『使って試してわかった!ホントに使える最強無料ツール-タダなのに「やりたいことし放題!!」の強力ツール-』宝島MOOK ¥1,200
 本書の中で紹介されながら、CD-ROMに収録されていないソフトもありました。サギみたい。
ホントに使える最強無料ツール


◎『彷書月刊』2006年7月号(彷徨舎) ¥630
 特集は「古本屋さんができたので。」。蟲文庫さんも寄稿しています。
『彷書月刊』2006年7月号


◎『本の雑誌』7月号(本の雑誌社) ¥530
 特集は「読者投稿欄の真実!」
『本の雑誌』7月号

  1. 2006/07/04(火) 05:23:41|
  2. 購書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《雑記》『白い巨塔』研究(その8)

◎『白い巨塔』におけると学閥と閨閥(6)

(東佐枝子は)、聖和女学院時代の級友である里見三知代を訪れることにしたのだった。
 里見三知代とは、お互いに医学者を父に持っていることと、三知代の実父で、現在、名古屋大学の医学部長をしている羽田融が、曾て浪速大学医学部の助教授であったことから、在学中から何となく話が通じ合う友人であった。(p.89)

 1987年版のドラマでは、三知代は佐枝子のピアノの先生という設定でした(羽田融の娘というところは原作と同じ)。平成版のドラマでは、三知代の死んだ父親の主治医が里見だったという設定で、医学者の娘ではありません。

 滝村名誉教授は、東教授の前の教授であったから、佃たちは直接の教えは受けていなかったが、第一外科出身の名誉教授で、日本外科学会の大御所的存在であったから、第一外科が率先して喜寿の祝賀会の世話をしなければならなかった。(p.119)

 筆頭講師の南と、次席講師の金井であった。南は、財前助教授より三つ齢下の四十歳の筆頭講師であったが、大学の研究室が好きだから、何時までも残っているといった
  1. 2006/07/03(月) 05:29:59|
  2. 『白い巨塔』研究
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

《購書》2006.06.25 児島書店

児島書店

●2006131,博士の愛した数式,小川洋子,,新潮社,新潮文庫,2005,¥250
 『世にも美しい数学入門』を読んで、興味を持ったので。

●2006132,バルカン・クリーゲ-性の秘本コレクション〈3〉-,ウィルヘルム・マイテル(著)城市郎(監修),梅原北明,河出書房新社,河出文庫,1997,¥500
 高校生の時(1978年)、次の本を買っていました。
・バルカン戦争,ウィルヘルム・マイステル,根岸達夫,浪速書房,POCKET BOOKS,1965
 古典的なポルノ小説ということです。そんなことととはしらず、若さに任せて(^_^;)、買ったものでした。児島書店か安倍書店のどちらかで買ったと思います。
バルカン・クリーゲ

  1. 2006/07/02(日) 22:02:55|
  2. 購書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ

カレンダー

06 | 2006/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

プロフィール

azev

Author:azev
FC2ブログへようこそ!

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する