Im Anfang war das Buch−購書&購盤日記−

本やCDを買う日々の記録です。

《読書》岡田斗司夫・唐沢俊一『オタク論!』創出版(その2)

唐沢俊一

(承前)

◎腐女子
岡田 女性の方が多いことで前に失敗したのが、オタク男女合コンですよ。独身オタク男子と独身オタク腐女子で合コンしたんですけど、僕は浅はかにも冷蔵庫の残り物でチャーハン作るような気持ちで、お互い余ってるんだからチャーハン作れるじゃん、と思って臨んでたんです。男は全員その意識でした。でも、女性は全然違いますね。オタクだからってなめないで、私たち腐女子かもしれないけど、オタクを彼氏にするほど落ちぶれてないわよ、というご“上から目線”だったんですね。僕らは社会の底辺の者どうしという意識だったんですけど(笑)。(「腐女子論に挑む!」pp.182〜183)

岡田 大学時代に「ガッチャマン」のファンサークルに入ったんです。そこに「ガッチャマン」ファンの女子高生がいて、ひょっとしたらこの子と付き合えるかもと思って(笑)、サークルの代表どうしで何回か会合をもっていい雰囲気になったことがあるんです。だけど、そこには壁があった。何かというと、彼女たちは「ガッチャマン」をご“信じて”いるんですよ。大鷲の健とかコンドルのジョーの存在を信じている。彼女たちが話したいのは「彼らがどんなに素晴らしいか」ということなんです。僕らが話したいのは「これは出来のいいアニメだよね」ということであって。なんか、キリスト教の研究者とペテロが話してるみたいな差があるんですよ(笑)。これは話が合わんと。男性はアニメを作品というよりシステムだと思ってますけど、女性は、別世界では生きてるんじやないかと思ってるところがある。(同p.187)
 「残り物でチャーハン」とか「キリスト教の研究者とペテロが話してるみたい」とか、私はこの言語感覚にシビれてしまいます(笑)。

◎漫画家残酷物語
唐沢 (略)僕が生涯に出した2通のファンレターのうち1通はうちの女房で(笑)、もう1通は高橋留美子んなんですけど、高橋さんから1カ月後くらいに返事が来た。僕はファンレターに「これからどんドん売れていくと、描きたいものと作品が乖離していくと思うので、お身体にはご注意下さい」と書いたんです。そしたら返事には「私は売れたいと思ってこの業界に入った人間なので、絶対に潰れませからご安心下さい」と書いてあった。ヒエーっと思いましたね。やはりそういう化け物みたいなじやないとダメなんですよ。手塚治虫も高橋留美子も化け物です。(「マンガ家という生き方」p.201)

岡田 書きたくなくなったら書かなきやいい、というものじやないんですね。
「ドラゴンボール」の完全版って、表紙とか見ると全然ダメなんですよね。最終巻の方に鳥山明のインタビューが載ってるんですけど、「macのおかげで絵を嫌いにならずに済んでます」とか言ってる(笑)。これはすごいことですよ。鳥山明という人は、絵しかなかった人なんですから。昔、『ジャンプ』の名物編集長だった鳥嶋和彦さんと飲んだことがあって、そのときに鳥嶋さんが、鳥山明とはどんな男かというのを泣きながら語ってくれたんです。家がすごく貧乏で、食べたいものがあると絵を描いていたと。お父さんとお母さんがあまり働かない人だったようで、「今日の晩は食べるものがないから、ワルツでも踊ろう」と言って、お母さんがワイングラスに水を入れて、お父さんと2人で踊ってたそうです。その横で鳥山明は「腹減った、腹減った」と思いながら、月の光でチラシの裏にマンガを描いていたそうです。そんな、絵しか楽しみがなかった人間がいま、絵を描くのが嫌だ、マンガ描くのが嫌だと。残酷物語ですよ。(同pp.203〜204)

唐沢 (略)手塚治虫というワーカホリック。“一番病”の人(水木しげるが手塚のことを「一番病」というマンガに描いた)がトップに立ってしまって、どんなにきつくても原稿は必ずあげる、絶対に落とさないというのが当然だと思い込んでしまった。あの人の最大の負の遺産はそれかもしれない(笑)。
岡田 アニメ界・マンガ界両方に負の遺産を遺したわけですね(笑)。
唐沢 アニメ界には負の遺産を遺したけれども(非常に低い単価でアニメーション制作を請け負ったことなど)、マンガ界にはあれだけの功績を残したじゃないかとみんな免罪する。でも実は若いマンが家たちの命を奪っているという(笑)。
 それと、マンガ界には。“無理をする”という武勇伝がありますね。「巨人の星」の川崎のぼるさんが4日間完徹やって、原稿をあげてふわーっとあくびしたら奥歯が5〜6本ボロボロっと抜け落ちたとか(笑)。本当の話ですよ。(同pp.204〜205)

◎その他
岡田 もう一つは、エリートの戦闘機パイロットが、「日本とアメリカが戦争になっても、東京は爆撃できない」と言うんです。練馬にはアニメスタジオがある。東京のどこかには氷川神社がある。そんな国を大統領の命令とは言え破壊できない。もちろん自分はアメリカという国に絶対の忠誠を誓っているし、何よりもアメリカ人の男でありたいと子どもの頃から思っていたんだけど、日本を爆撃することはできない、と。
 これを聞いた時に、「オタクは民族なんだ!」と思ったんです。(「オタクは死んだ、のか?」p.194)


※唐沢俊一×岡田斗司夫の「オタク論!」がひどいとの批判(にゅーあきばどっとこむ)

※岡田斗司夫
※唐沢俊一

※正誤表
  1. 2007/05/21(月) 05:37:46|
  2. 読書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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  1. 2007/05/21(月) 14:15:57 |
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